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NO.99

日本脳炎の予防接種

平成16年 6月

日本脳炎の予防接種

「日本脳炎の予防接種って、必要なんですか。」

 お母さんから、よく受ける質問です。 

 答えは、「日本脳炎の発症はすごく減っているんですが、“0”ではないんですよね。特に西日本では日本脳炎の発症が他の地域に比べて多く、西日本のブタさんは、日本脳炎のウイルスを結構持っているんです。そして、お子さんが将来、日本脳炎の流行している外国へ行くこともあるでしょうから、予防接種を受けていたほうがいいですよ。」となります。

【日本脳炎の発生】

 日本脳炎の患者発生は40年前までは毎年2000人を超えていましたが、予防接種の普及や生活環境の改善で、最近では一桁の発症となっており、平成14年には8例のみの発症でした。しかし、その内、中国地方が6例でした。また、これまで報告の無かったオーストラリアでも日本脳炎の患者が発生し、流行地域の拡大をみせています。

【コガタアカイエカとブタ】

 日本脳炎のウイルスは水田の発生するコガタアカイエカなどの蚊によって広がります。日本脳炎のウイルスを持つブタの血液を蚊が吸血して、ウイルスを持った蚊となります。この蚊が他のブタを刺す時にウイルスを移します。こうして、ウイルスを持ったブタと蚊が大量に発生し、そのうちに、その蚊が人間にウイルスを移すことになります。毎年、ブタの検査がされていますが、九州、四国、近畿などの県では80%以上のブタがウイルスを持っています。

 【予防接種】

 定期接種では、生後3ヶ月(標準的な接種年令は3歳)から生後90ヶ月までにT期(基礎免疫)の3回を受けることになっています。T期を完了するには、2年はかかります。その後、U期,V期の予防接種として、9歳以上13歳未満と14・15歳の内にそれぞれ1回があります。T期の定期接種(生後90ヶ月・7歳6ヶ月まで)の時期を過ぎると自費になりますが、基礎免疫は重要ですから3回は受けてください。全国調査では、日本脳炎の摂取率は90%以下となっています。三種混合や麻しんなどの定期予防接種が100%近い接種率でありますから、日本脳炎だけが特に低い事になります。

 日本での患者の発生数は少ないですが、全く無いわけではありません。また将来、子ども達が日本脳炎の流行地域に行くこともあります。小学校に入るまでに基礎免疫の3回は受けてください。

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