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NO.59

21世紀の子育て
 ”二元論から三元論へ”

平成13年 2月

 上のような題の論文が小児科の雑誌(“小児科”の1月号 著者 加藤尚武氏) にありました。少しややこしい題ですが、私の印象に残ったところを。

 V 母性剥奪

  母性剥奪の結果として暴力化した男の子どもを父親が威圧したり、直接実力で押さえつけたりするとますます子どもは暴力化する。・・・・だから、母性剥奪の結果を示す若者を父性不在だと判断して、「父親が権威性を発揮していないから、非行少年が増えるのだ」と強圧的に受け押さえつけようとすることだけを強化しようとするのは、最悪の対処になる。

  昔ながらの男の子の子育ての基本は、12歳ごろの元服までは母親中心にやさしく育て、元服を転機として、子どもの居場所を母親の周辺から父親の周辺へと移し、母から父へと監督権をバトンタッチする形になっている。つまり、十分な母性のめぐみを与えて育てた台木に、父性中心の文化を接ぎ木する形になっている。

 W 人間性の刷り込み

  生後48ヶ月を、愛情をもって育ててもらえるかどうか。そのことが人間性の形成にとって決定的である。・・・・厳しく育てることが子どもの人間性を育てるという効果をもつためには、まず、生後48ヶ月の間に大きな愛情を注ぎ込んで置かなくてはならない。生後48ヶ月の間は、「甘やかしすぎないか」と心配する必要はない。

  大人の反応によく応答する赤ちゃんにすることが、あらゆる人間性を築く基礎である。まず、赤ちゃんに常に二人称の態度で接するということが大事だと思う。赤ちゃんが、言葉がわからなくても常に話かける。返事がなくても、いつも対話している雰囲気で接するのである。

 X 父性の役割

  父性と母性というのは親の性別ではない。実際の子育てでは父親が母性を演じたり、母親が父性を演じたりする。・・・・

外の世界のものをみるという経験を共有することが父親の役割である。・・

 しかし、同時に父親は外部の世界の人々から子どもの行動がどのように評価されているかを伝えてやらなくてはならない。たとえば暴力や盗みや嘘に対して、「それは世間がゆるさない」ことをわからせなくてはならない。叱る父親は外部世界の代弁者である。】

 我が家の三太(柴犬)を買ったペットショップのご主人の「いまの時期におすわりができれば十分ですよ、しっかり可愛がってあげるのが大事ですよ、しっかり可愛がってあげてください」の言葉を思い出しました。21世紀も“子育て”は大変です。皆さん頑張りましょう。

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