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NO.50

自家中毒症

平成12年 5月

 2歳〜10歳の子供が“この2〜3日食欲がない、吐いてしまう、なんとなく元気がない、お腹が痛い、頭が痛い、顔色が悪い”などの症状があり、尿を調べると“ケトン体”という物質が出ていると、“自家中毒症”と診断されます。

 自家中毒症は中毒と名がついていますが、食中毒のように何か悪いものを食べたからなるのではありません。

 原因はよく分かっていませんが、カゼに罹ったり、遊びすぎ、寝不足などで疲れたり、入学・入園・転校などの環境の変化などいろんなストレスが原因でなるようです。4月からの新しい生活の緊張からしばらくたったこの時期にやや増加する病気です。

 体の中では、ストレスでエネルギーの発生の方法がうまくいかずに、遊離脂肪酸というものが増加して、最終的にケトン体なるものが産生されています。このケトン体は妊娠中毒症の時にも増加します。妊娠中毒症の時にはムカムカして、吐き気があります。自家中毒症も、妊娠中毒症のようになっていると考えればいいのです。

 自家中毒症は、神経質な子供とか、体の弱い子供がなるとよく言われ、“自家中毒症ですね”とお母さんに告げると,少し心配されますが、多くは小学校の低学年までに起こり、後は起こらなくなります。私も、幼稚園に入る前に緊張したのでしょうか、自家中毒症になって入院していたようです。40年前ですから、今のように子供に静脈の血管に点滴をする針が無かったようで、太ももの皮膚の下に針をさして大量皮下注射なるものをされていた様です。看護婦さんが病室に入ってきて点滴のビンを換えていた風景はなんとなく記憶にあります。

 同じような症状で、低血糖になっている事があります。このときには、ウトウトして、点滴の針を刺しても泣けないほどになります。早く治療をしないと意識が無くなり、ケイレンを起こしたりします。

 治療は、体にエネルギーの元である糖分を入れてやる事です。まずは、飴やジュースなど甘いものを食べさせてください。それで元気が出なければ病院に行ってください。軽症であれば外来で点滴をすればビックリするほどに元気になります。重症なら、やはり入院して点滴です。

 いい予防法は無いのですが、夕食を食べずに寝てしまうと、翌朝に起こったりしますから気をつけてください。また、油物やチョコレートなどの食べすぎにも気をつけてください。

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