NO.46 ムカデの物語 平成11年 12月 ムカデは、何の心配もなく悠々としていた。 しかし、ある日ヒキガエルが意地悪にもこう言った。 「おい!お前の足は、どの足が先に動くんだ?」 これが、ムカデの心にひっかかった。 ムカデは溝の中に悶々として横たわり、 どの足が先に動くのかを考えている。 外国の小児科の教科書(当然、日本語訳です。)に出ていました。子どもの発育について考えるときには非常に重要な物語だと思います。子どもの、運動・言語・社会性(基本的習慣・対人関係)などは、大人の日常生活を模倣しながら、そして、大人の少しのアドバイスを受けながら発達していきます。オオカミ少年ではありませんが、当然、必要な時に適切な手本が無ければ、人間としての習慣を身につけることが困難となる事はありますが、現在の日本でオオカミ少年になることは考えられません。 生後10ヶ月から歩きはじめる子どもから、1歳半で初めて歩く子どももいます。歩くのが遅いからと、両手を持って、「右足、次ぎは左足を出して。」と言っても子どもにはストレスです。早く話せるようにしようと、「うーうー」とか「ぶーぶー」とお母さんの顔を見て喜んでいる赤ちゃんに「あ・い・う・え・お」を教えることは出来ません。お母さんがやさしく話しかけてあげるのが一番です。 そして、子どもの発達では、時々後戻りをすることがあるようですし、ちょっとつまずいてしまう事もあります。それをムカデの話ではありませんが、一大事と考えてしまうと、その大人の気持ちを敏感に子どもは察知して、本当に一大事になる事があります。 ムカデの親は、自分の子どもに、自分以上に早く歩いたり、走ったりする事は望まないでしょう。しかし、人間の親は子どもに、早く歩き、速く走る事をのぞんでしまいがちです。百本の足がスムーズに動いているのに、一本足だけに注目したり、もっと速く動かせようとして百本足がバラバラにならないようにしたいものです。 私も、まだ子ムカデの父親です。意地悪なヒキガエルにならないようにお互いに注意致しましょう。 |