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NO.22

アタッチメント(愛着)

平成9年 12月

 前回にお話した骨髄移植のドナーの方は、骨髄採取のあと2日目に元気に退院されました。皆さんのお祈りありがとうございました。

 アタッチメント(attachment、愛着)とは、子供が親(あるいは親に代わる人物)との間に形成する愛情のきずなのことをいいます。最近では、高校の家庭科の教科書(男女とも)にも出てきています。子どもが少なくなり、自分の子どもを育てるまでに、赤ちゃんに触れたことのない若い両親もいます。また、親から暴力を振るわれる”虐待児”も増加しています。このように親子関係の重要さが認識されているときに、アタッチメントが注目されています。

 アタッチメントの機能は、子どもに安全感を与えることです。つまり、”お母さんといればぼくは大丈夫”という気持ちにさせることです。母親は子どもの”安全の基地”となるのです。子どもにとって、最初の他者である母親への信頼感を持つことは、他の人たちとの信頼関係を築く基礎となります。

 アタッチメントの発達は次の4段階を経過するといわれます。

 第一段階(生後3ヶ月ころまで) だれに対しても、見つめたり、微笑んだりする段階で、まだ特定の人をほとんど識別していないので、アタッチメントは認められません。

 第二段階(3ヶ月ころより6ヶ月ころまで) 人をかなり識別するようになり、とくに母親に対してよく笑ったり、抱かれて泣き止んだりします。

 第三段階(6〜7ヶ月ころより2〜3歳まで) 特定の人(母親)への選択的な反応が多くなります。そばを離れようとする母親のあとを追う、戻ってきた母親を喜んで迎える、母親を安全基地としながら探索行動を行う、見知らぬ人を警戒し恐れる、などの行動がみられます。この段階では、明らかにアタッチメントは成立しています。

 第四段階(2歳半ないし3歳以後) 母親の行動の理由や計画を理解できるようになり、例えば短時間の不在には待っていられるなど、自分の行動をある程度調節できるようになる、つまり、自立の過程です。

 これは ”病児保育マニュアル;第8章 病気のこどもの心理”からの抜粋です。赤ちゃんは、2ヶ月を過ぎると、だれにでも”ニコニコ”と微笑んでくれます。次に笑ってくれる相手が限られてくると、人見知りがはじまります。はじめは、保育園でお母さんと別れるときに泣いて困らせますが、次第に、保育園で楽しく遊びはじめます。自立をすると少し寂しい気持ちがしますが、迎えに行くと、走って来てくれます。いつまでも、子どもの”安全の基地”となって下さい。

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