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NO.14

アレルギー・マーチ

平成9年 4月

 入園・卒園・入学と、皆さんおめでとうございます。新しい友だち、先生と元気に楽しく遊んで下さい。卒園・入園されたお子さんのお母さんは、ここでもう一度”母子手帳”をだして予防接種が済んでいるか確かめて下さい。定期の予防接種の多くは生後90ヶ月(小学1年生)までに受ける事になっています。また、入園し集団生活をはじめる前には少なくとも”はしか(麻疹)”の予防接種は受けて下さい。

 今年は、スギの花粉が多く、雨上がりの朝などに鼻水、クシャミ、はなずまりで困っている方が多いのではと思います。以前は、大人の病気であったアレルギー性鼻炎も最近では発症が低年令化しており小学生の低学年からもみられます。

 今回はこのアレルギーについて書きます。

 アレルギーと同じからだの反応に免疫(めんえき)反応があります。免疫反応はからだに入った、細菌、ウイルスや異物をやっつけて追い出す反応です。この反応がないと子供は生きていけません。この免疫反応を利用したのが予防接種です。はしかワクチンを受けると体の中にはしかウイルスを攻撃する”対はしかウイルス用軍隊”ができます。次に、はしかウイルスが入ってくると軍隊の司令官からの命令で即座に専用の攻撃ミサイルが発射され,はしかウイルスだけを食べ尽くす良く訓練された怪獣隊が出動します。この大事な反応の方向が少しくるうとアレルギー反応になります。

 アレルギー体質の子供では”対タマゴ用軍隊””対ダニ用軍隊””対スギ花粉用軍隊”などが編成されやすくなっています。この軍隊と”タマゴ・ダニ・スギ花粉”などとの戦争がアトピー性皮膚炎、気管支喘息、アレルギー性鼻炎(花粉症)やアレルギー性結膜炎となります。それぞれの戦争が起こる場所と戦い方は違いますが、同じような原因でおこり、同じような兵器が使用されています。また、年令によっても戦い方の違いがあり、小さいときにはアトピー性皮膚炎であり、小学生で気管支喘息、思春期でアレルギー性鼻炎となります。この年令によるアレルギー症状、戦い方の変化を”アレルギー・マーチ”と呼んでいます。

 治療法、戦争を終わらせる方法は症状が違っても原因は同じですから、初期の対応は同じです。まず、軍隊を作らない事ですが、軍隊が無ければ(免疫不全です)戦争にはなりませんが、他の敵(はしかやみずぼうそう)に簡単にやられてしまい全滅です。理想は軍隊を持っても”戦わずして勝つ”ことで、”タマゴ・ダニ・スギ花粉”から逃げてまわる事です。次は、小さな戦いの内に治める事です。これには、抗アレルギー剤とか体質改善剤などと呼ばれる薬があり、いろんなアレルギー性疾患で使用されています。大戦争になってしまうとそれぞれの対応が必要となります。まずは”戦わずして勝つ”事です。

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